なくなっている戸籍
2023年6月22日
戸籍を請求していると、様々な歴史を感じることがあります。
その中でも、残念に思うことが「災害や戦争による戸籍の消失」です。
大正12年に発生した関東大震災は
地震が発生した時間が昼食の時間帯で、
かまどや七輪からの同時多発的火災が発生し、
水道が断水したこともあり用意されていた消火設備が使えなかったそうです。
強風などの影響もあり、火災はたちまち延焼し数日間燃え続けました。
火災の範囲は市域面積の約43%にも及び、
日本橋区(現在の中央区の北部)、浅草区(現在の台東区の東部)、
本所区(現在の墨田区南部)、神田区(現在の千代田区の一部)、
京橋区(現在の中央区南部)、深川区(現在の江東区北西部)では
ほとんどの市街地が被害を受けたようです。
先日、請求した戸籍の本籍地がまさにこの辺りで
戸籍自体は再編されて存在していたのですが、
無くなった情報は復元されることはなく
空欄の目立つ戸籍でした。
たまたまこの戸籍の持ち主は他地区への転籍等があったため、
その違う地区で戸籍の流れを把握することができましたが、
すべて焼失してしまっている場合もあるのだろうなと思いました。
同じように、当事務所がある鹿児島では昭和20年に
鹿児島大空襲があり、計8回の攻撃で
市街地の約93%が焼失したといわれています。
当時の鹿児島市役所本庁舎も被害を受けており、
戸籍が焼失している可能性が極めて高いのです。
現に、鹿児島県の地方に比べて鹿児島市への請求では
古い戸籍が少ないと感じた事例が何件かありました。
またご先祖の本籍地が宮崎県の延岡市にある代表の戸籍を取り寄せた際も、
「火災により戸籍焼失」との連絡を受け、調べてみると
昭和20年6月にアメリカ軍の焼夷弾による空襲を受け、
延岡の市街地およそ36%が爆撃の被害を受けるという
大惨事があったこともわかりました。
このように戦争や震災によって消失された戸籍は
別に保管されている戸籍の副本を基に再製されますが
それでもなくなってしまっている場合もあるので
「告知書」や「滅失証明書」などが添付されることがあります。
残念ながらなくなってしまった情報を得ることは難しいですが、
役所によってはまだ保存されている戸籍があるのも事実です。
ただしHPやパンフレットなどでもお伝えしているように、
戸籍には保存期間があります。
完全に消えてしまった戸籍を復元することは不可能なので、
せめて保存されている戸籍、取り寄せることができる戸籍から
わかる情報をしっかり読み解いていきたいと思っております。