軍歴証明とは
2023年6月9日
2022年は戦後77年を迎え、沖縄の本土復帰から50年と節目の年となり
平和について改めて考えさせられる年となりました。
家系図を依頼される方の戸籍を辿っていくと、
ご先祖の戸籍に「○○で戦死」と書かれていることがあります。
比(フィリピン)島モンタルバン山中、レイテ島パロンポン、
南洋群島方面、満州牡丹江省寧安県など
実際に戦地であった様々な場所の記載があります。
戸籍で分かるのは戦没日や戦没地のおおまかな場所までですが、
国や自治体に「軍歴証明」を請求すると
より詳しい情報が判明する場合があります。
「軍歴証明」とは、かつて戦争に従軍した陸海軍軍人や
戦時に様々な形態で軍に関わった軍属の方の
入隊から除隊までの任免・配属・賞罰・傷病等を記録したものです。
証明といっても定型的な文書があるわけではなく、目的や使途に応じて
保管している資料の内容を履歴書形式に編集したものや、
軍歴資料等の写しのことをいいます。
戦没者遺族や退職軍人の遺族等が年金等を請求するときに使う
公印の押される正式なものと
公印の押されない資料的なものがあります。
【請求できる方】
多くの都道府県が、請求者の父・祖父・おじ等の3親等以内を認めています。
中には、基本的には本人しか認めていないが本人死亡の場合のみ親族請求を認めるところや、 本人の生死に関わらず6親等まで、
さらに血族なら誰でも認めるというところもあります。
祭祀主催者、状況により戦友にも発行されます。
【請求先】
◆都道府県の場合
陸軍に所属していた方(陸軍軍属のうちの高等文官・従軍文官を除く)の請求先は、
昭和20年終戦時または戦没時・除隊時に
本籍があった都道府県になります。
一部所管が厚労省の場合もあります。
旧陸軍から引き継いだものであり、戦後の混乱期の影響で
全ての方の資料が保管されているとは限りません。
◆厚生労働省の場合
海軍に所属していた方と、陸軍軍属のうちの高等文官・従軍文官の方の資料は、
厚労省が一括して保管しています。
他の陸軍の業務に従事したことがあった方の資料も厚労省にある場合があります。
旧海軍から引き継がれた資料(履歴原票等)および、
旧陸軍から引き継がれた資料が保管されています。
問い合わせ先一覧はこちら ↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093051.html
【申請の方法】
事前に電話または電子メールにより、都道府県・厚労省に問い合わせをします。
その際、旧軍人等の名前、生年月日、終戦時(戦没時)の本籍に関する資料を準備します。
◆都道府県の場合
問合せをして、兵籍簿等の資料が保管されているかどうかを調べてもらいます。
都道府県により違いはありますが、調査後
担当者からの連絡があり、資料が残っていたら申請できます。
申請書には様々な記入欄がありますが分かる範囲で記入し、
知っている情報も書き添えるといいです。
必要書類とともに郵送すると、その後自治体から軍歴証明が届きます。
届くまでの期間は、窓口交付の場合や郵送の場合により
数時間から2,3カ月かかるときもあります。
◆厚労省の場合
HPや郵送により申請書を取得し、必要書類とともに送付します。
申請書を受け付けてから資料が残っているかの調査となります。
調査には数か月かかる場合もあり、調査の結果、資料が確認できない場合もあります。
【必要なもの】
~都道府県の場合~
●申請用紙(軍歴照会票・交付申請書等)
※HPからダウンロード、またはファックスや郵送で取り寄せ
●本人確認書類
●親族関係が確認できる戸籍(親族請求の場合)
●一部自治体では手数料・郵送料・除籍・住民票等
~厚労省の場合~
●個人情報開示申請書
※HPからダウンロード、またはファックスや郵送で取り寄せ
●本人確認書類
●住民票
●親族関係が確認できる戸籍(親族請求の場合)
●旧軍人等の死亡年月日が確認できる戸籍(親族請求の場合)
【軍歴資料の種類】
~陸軍~
軍歴証明書・・兵籍簿をもとに履歴書のようにまとめられたもの
兵籍簿・・軍人に関する戸籍のようなもの
戦時名簿・・兵籍とほぼ同様の記載内容
他にも、臨時軍人(軍属)届、本籍地名簿、事実証明書などがあります。
~海軍~
履歴原票(奉職履歴)の写し・・陸軍の兵籍に相当するもので、旧海軍の人事記録
留守名簿・・昭和20年当時外地にあった部隊別の連名簿
部隊略歴・・部隊主力の記録
他にも、乗船名簿、入院患者名簿等があります。
~軍属~
兵籍に似たものがあるが、残っている資料は少ない
軍歴証明を交付してもらうためには、問い合わせをしたり必要書類を準備したりと
時間と労力が必要です。
また申請をしても、資料が残っていないと交付されないこともあります。
それでも、もし記録が残っていて軍歴証明を取り寄せることができれば、
戸籍には載っていないご先祖の情報を新たに知ることができます。
現在は国や都道府県に保管され、申請すれば調査してもらえる軍歴資料ですが
戸籍と同じでいつ制度がかわり、取得することが難しくなるかは不明です。
ご先祖の歩まれてきた歴史 ともいえる貴重な軍歴資料を
後世に残してみてはいかがでしょうか。
※当事務所では、軍歴資料を取り寄せるサービスは行っておりません。
「軍歴証明について①」8/2ブログ
「軍歴証明について②」10/6ブログ